今年観た映画振り返り(2020)

今年から映画をちゃんと観ようと思って、とりあえず100本目標で結果116本。12月は修論忙しくて1本しか観れず...120本は観たかった。100本というのはかなり少ないのは分かっているのだが、なかなか難しい。学部生のときに沢山観ておくんだった。来年はもっと、月15本とか観たい。

 

今年のベストは、キム・ボラ「はちどり」かな。

エドワード・ヤン「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」を彷彿させる映画で、マクロな社会不安とミクロな具体的な生活のレベルの不安が相似形となって連動していることを、映画表現ならではという仕方で映し出している。公開は去年だけど今年劇場で観たオム・ユナ「マルモイ ことばあつめ」(「タクシー運転手」と同じ監督))も号泣必至の良作で、韓国は社会派の力作が多い。

 

次点は、ダルデンヌ兄弟「その手に触れるまで」。原題は少年アメッド(Le jeune Ahmed)のところ、作品の本質を抜き出すかのような邦題。イスラム原理主義から少年を救い出すというテーマ。少年の心の機微を精緻に映し撮るカメラに倫理的な緊張が溢れていているが、ラストに希望がある。

 

タランティーノ、スコセッシはフィルモグラフィーを網羅しようとしたけど、半分もいかなかったので来年こそ。

タランティーノヘイトフル・エイト」は、テーマも完璧だし、それに加えてラグジュアリーで、豊かな作品だった。

スコセッシの「ゴッド・ファーザー」3作、「ギャング・オブ・ニューヨーク」は、アメリカと移民・ギャングの歴史を見事に描いていた。同じテーマの延長のはずの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」見逃してるのツラい。そしてトッド・フィリップス「ジョーカー」がリスペクトする「キング・オブ・コメディ」、「タクシードライバー」は、「ジョーカー」と違って社会とのディスコミュニケーションの不気味さを表現していて怖さが残り続ける名作。

 

不気味さ、不穏さといえば黒沢清。「スパイの妻」も傑作だったし、「CUREキュア」、「回路」、「アカルイミライ」と観て、そのカメラワークと編集に映画表現かくあるべしと教えられた気がして、映画愛がいや増した。シネフィルになりたい…